どうも、所長です。
このブログではアフィリエイターとして活動していますが、本業では一応WEBデザイナーと名乗っていたり名乗っていなかったりします。(きちんとデザインの勉強をしたわけでは無いのでデザイナーを名乗るのは気がひけるのですが)
で、五輪エンブレムの件でパクリだのパクリじゃないだの大きな話題になってますが、正直僕は意見を言うのは避けてきました。パクリとオマージュの線引というには非常に難しい問題ですし、本人にはパクる気がなくても世間が見てあまりにも似ていればパクリと言われてしまうからです。パクリ元を知らなかったとしても本当に偶然全く同じものが出来上がってしまう可能性は当然あるからです。
だから、同じくデザインに携わる人間として「確かに似てるよな」とは思いつつも擁護も批判もしないフラットな立場をとり続けたわけです。
ですが、パクリ騒動が話題になってから「Twitter垢を消した」などの話を聞いて「逃げてないできちんと説明すればいいのにな」と少しづつ不信感が募りだして、ココにきて会見で僕の中の違和感が溢れだしてきました。
なので、今日は少し書いてみたいと思います。
※無責任な発言をしてもアレなので、8/4の会見動画は59分通して全部見てから記事にしています
ロゴの着想の説明の違和感
会見動画内で最初に説明されたのが、どうこのデザインを思いついたか、でした。
以下がその説明でした。
- DidotとBodoniというフォントの楕円形から1964年の前回の東京五輪の亀倉雄策のロゴを連想
- 正方形を9分割して、真ん中の黒い長方形は五つの輪の黒と揃えた
- 右上の赤丸は鼓動をイメージし、これも五輪の赤輪と揃えた
- 左上の羽は、見えない大きな◯をイメージしている。右下も同様で反転して使用
1はまぁ、わかるでしょう。
こういう大きな円をイメージして旧ロゴと関連性を出すのはわかります。
2.と3.もわかります。
説明を聞くまでは気づかなかったんですが、言われてみればそうかな、と。
4.の説明も1.と関連しているので形状は理解できるのですが、ではなぜ左上は茶色は2.3.と同じように5つの輪と色を合わせなかったのでしょう?
ここが青ければ(良し悪しは別にして)デザインの説明に整合性がとれていますが、突然出てきた茶色のカラーリングが謎です。
色をパクったとよく話題に上がっているスペインのデザイン事務所のマークですが、これを参考にしたかどうかは別として、五輪の色を使用していたはずなのに唐突に茶色が出現したことに違和感を感じるのは事実ですよね。
また、エンブレムのモチーフのTをかたどるためには本来不要な右下のグレーの羽。
確かに、大きな円をイメージさせるためには左上の羽だけでは不十分なため、ここに必要なのもわかります。それで色をグレーにして形状としては目立たないようにしたんだと理解しました。
ですが、それならそれで会見で公開されたフォントの説明がつかなくなってしまいます。
A-Zまで用意された書体(フォント)との矛盾
このフォント自体がそもそも文字として認識できないとか、読めないという問題点も有るんですが(個人的には速攻没にするレベル)、それ以前に、文字を形成する要素にグレーが入っているのが違和感がありまくりです。
さきほどのエンブレムでは、大きな見えない円を見せるために配置された右下の羽。
これはモチーフになっているTを構成するには不要なはずです。であれば、他のA-Zの文字を作るときにも、文字の形状部分にはグレーが入っていてはおかしいはずですよね?
それなのに、重要な部分でもグレーを使用しまくっています。コレはコンセプトからずれているとしか思えません。
個人的には、これを見る限りは騒動になってから後付の説明として急いでA-Zを作ったように感じますし、だからこそデザインに矛盾が生じているんじゃないかな、と感じずにはいられません。
その他記者からの質問に対する問答は、ほとんど意味のない時間だったと感じました。
「デザインが似てる」と言わせようとか、とりあえず「謝らせよう」とかいう記者の思惑が合っての質問ばかりで、時間の無駄でしたので、語るべき内容は特になかったです。
というわけで、これら2点の違和感を元に、特に2つめの「フォントを後出しで公開したが整合性が取れてない」「フォント事態がデザイン的にゴミ」という部分で非常に失望したので、ブログにまとめることにしました。
個人の感想ですので、反対意見など、何でも大歓迎です。
私はデザインディレクションに関わる身の者です。
色は、茶色というか、金色を意図しているかと思います。赤・金・黒というのは典型的なジャパネスクカラーです。灰色も銀を意図しているのではないでしょうか。
フォントについては、文字としての認識性は低いですが、ロゴデザインとしては悪く無いと思います。
フォントとして使うのではなく、組合せてロゴとして使うのであれば問題ないのではないでしょうか。
このレベルのロゴデザインになると、デザインというかアートとしての側面も強くなってくるかと思います。そういう意味で、このロゴはかなり高い次元で成立していると思います。
大変残念です。
お役所デザインは、今まではどうせ裏があるんでしょと思いながらも、まともなデザインが多かったと思います。ここ数年は、残念としか言いようがない新規性のなさ。
多分これに極まったんでしょうね。
態度もデザイナーとして見苦しいです。
一端のデザイナーなら、そこまで言うなら好きにしろよと、別のデザインにすればいいくらい言い切って欲しかった。
まあ更に疑惑が出てきているので、もう時すでに遅しですが。
むしろ、普通は「金色」と「銀色」と言うと思うところを、「茶色」「グレー」を使う、この記事の方が、誘導を感じます。